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2026.09.04
健康経営

健康経営のKPI設計ガイド ~KPIとKGIの違いから学ぶ、成果につながる指標のつくり方~

健康経営に取り組む企業は年々増えていますが、「健康診断受診率100%」「ストレスチェック実施率100%」といった目標だけで、健康経営の成果を十分に評価することはできません。

経済産業省では、健康経営を「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」としています。また、企業理念に基づく健康投資によって、従業員の活力向上や生産性の向上など組織の活性化を図り、その結果として業績向上や企業価値の向上につながることが期待される経営手法と説明しています。

そのためには、健康施策を実施するだけでなく、その効果を測定し、改善につなげるための指標が必要です。

KGIとKPIの違いを整理したうえで、健康経営におけるKPIの設計方法や具体例、運用のポイントを解説します。

健康経営でKPIが重要な理由

まずは健康経営の目的を整理します。

健康経営は「健康施策を実施すること」が目的ではなく、「従業員の健康の保持・増進を通じて、企業の持続的な成長につなげること」が目的です。

そのためには、

  • 健康施策を実施したか
  • 従業員の健康状態は改善したか
  • 経営成果につながったか

を継続的に確認する必要があります。
その役割を担うのがKPIです。

参考資料:経済産業省「健康投資管理会計ガイドライン」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoutoushi_kanrikaikei_guideline.html

KGIとKPIの違いとは

KGI(Key Goal Indicator)は、企業が最終的に達成したい目標を示す指標です。
一方、KPI(Key Performance Indicator)は、その目標を達成するための途中経過を測る指標です。

健康経営では、例えば次のような関係になります。

KPIは、最終目標へ向かう途中経過を「見える化」するための指標であり、適切に設定することで、施策の効果を評価しやすくなります。

健康経営のKPI設計は「経営課題」から考える

KPIは健康施策から考えるのではなく、まず企業が解決したい経営課題を明確にすることが重要です。

例えば、

  • 人材の定着率を高めたい
  • 生産性を向上させたい
  • 長時間労働を改善したい
  • メンタルヘルス不調を減らしたい

などの経営課題があります。

その課題に対して、
経営課題→健康課題→健康投資→従業員の行動変容→健康状態の改善→経営成果
という流れで整理すると、必要なKPIが見えてきます。

この考え方は、経済産業省が示す「戦略マップ」の基本的な考え方です。

健康経営のKPI設計4ステップ

STEP1 KGIを決める

最終的な目標を設定します。

  • プレゼンティーイズム改善
  • 離職率低下
  • 生産性向上

STEP2 健康課題を整理する

・睡眠不足

・運動不足

・高ストレス

・喫煙率

STEP3 KPIを設定する

  • 睡眠満足度
  • 運動習慣者割合
  • 高ストレス者割合
  • 再検査受診率
  • 医師意見聴取実施率

STEP4 目標値を決める

睡眠満足度:  65% ⇒ 75%

再検査受診率: 60% ⇒ 80%

数値目標を設定することで、改善状況を継続的に評価できます

健康経営で活用しやすいKPI例

テーマ別に紹介します。

KPIはPDCAで継続的に改善する

KPIは設定して終わりではありません。

毎年、

  • 達成状況を確認する
  • 原因を分析する
  • 施策を改善する
  • KPIを見直す

というPDCAサイクルを回すことが重要です。
企業の課題や従業員の状況は変化するため、KPIも定期的に見直すことで、健康経営の実効性が高まります。

まとめ

健康経営のKPIは、「何を実施したか」を示す指標ではなく、「従業員の健康状態がどのように変化し、それが経営成果につながったか」を確認するための重要な指標です。

KGIという最終目標を明確にし、その達成に向けたKPIを設定することで、健康経営の取り組みを客観的に評価し、継続的な改善につなげることができます。

自社の経営課題と健康課題を結び付けながら、健康投資から経営成果までを一つのストーリーとして設計し、健康経営を「取り組み」から「成果を生み出す経営戦略」へ発展させていきましょう。

参考資料 
経済産業省『健康投資管理会計ガイドライン』
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoutoushi_kanrikaikei_guideline.html

経済産業省『健康経営』
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

ACTION!健康経営
https://kenko-keiei.jp/

厚生労働省『健康日本21(第三次)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21_00006.html

厚生労働省『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度』
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html

厚生労働省『健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針』
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K170417K0020.pdf

この記事を
書いた人
産業保健師 中島真由美
産業保健師 中島真由美
【保有資格】
・保健師/看護師
・第一種衛生管理者
・健康経営エキスパートアドバイザー
・産業カウンセラー
・両立支援コーディネーター

【プロフィール】
保健師・看護師。自治体で母子保健、成人保健、高齢者、障がい者支援など幅広い分野に携わり、あらゆる年代の健康相談を経験。
その後、企業において産業保健師として従業員の健康管理や健康経営の推進に従事。
2024年より現職。メディクラ健康管理を中心としたヘルスケアサービスを通じて企業の健康管理業務を支援するとともに、企業の健康管理担当者に役立つ情報を本コラムで発信している。

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