「勤務間インターバル」制度を解説!

産業保健
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「勤務間インターバル」制度は

2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」に基づき労働時間等設定改善法が改正され、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間以上の休息を確保することが事業主の努力義務として規定されました(2019年4月1日施行)。

制度の導入によって得られる効果や、導入・運用について解説します。

勤務間インターバル制度とは

「勤務間インターバル制度」は、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の 休息時間(インターバル時間)を設ける制度で、働く人の生活時間や睡眠時間を確保するものです。

一定の休息時間を確保することで、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができると考えられます。

「勤務間インターバル」制度は、働き方の見直しのための他の取組みと併せて実施することで一層効果が上がると考えられ、健康やワーク・ライフ・バランスの確保策として期待されています。

「勤務間インターバル」制度を導入した場合、下図のような働き方が考えられます。

休息時間(インターバル時間)数は会社ごとに決めることができるため、会社によって異なります。

休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着を図ることを国は成果目標としています。

2024年4月より運転業務者においては「休息時間は継続11時間以上を基本とし9時間を下回らない」と労働時間等設定改善法が改正されました。

次の始業時刻の繰り下げや、ある時刻以降の残業を禁止し次の始業時刻以前の勤務を認めないこととする等によりインターバル時間を確保する方法もあります。

一定の休息時間を確保することで、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保でき、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができます。

変形労働時間制をはじめ、フレックスタイム制、裁量労働制といった労働時間制度を採用する企業が増えてきました。こうした労働時間制度のもとでも、繁忙期等の特定の時期に長時間労働になる、交替制勤務において勤務間隔の短いシフトで勤務しなければならない等のために、十分な休息時間を確保できない状況が生まれています。このような場合には、勤務間インターバル制度を併用することにより、十分なインターバル時間の確保が可能になります。

引用:東京労働局 勤務間インターバル制度をご活用ください

「勤務間インターバル」制度の導入により得られる効果

勤務間インターバル制度の導入により、従業員がインターバル時間を確保できるようになれば、企業が得られる効果には以下のようなものがあります。

  1. 従業員の健康の維持・向上につながります  インターバル時間が短くなるにつれてストレス反応が高くなること、インターバル時間が12時間を下回ると起床時疲労感が残ることが明らかになっています。十分なインターバル時間の確保が、従業員の健康の維持・向上につながります。
  2. 従業員の確保や定着が期待できます  労働人口が減少するなか、人材の確保・定着は重要な経営課題になっています。十分なインターバル時間の確保により、ワーク・ライフ・バランスの充実を図ることは、職場環境改善等の魅力ある職場づくりの実現につながり、人材の確保・定着、離職者の減少も期待されます。
  3. 生産性の向上につながります  十分なインターバル時間の確保は、「仕事に集中する時間」と「プライベートに集中する時間」のメリハリをつけることができるようになります。このため仕事への集中力が高まり、生産性の向上にも期待できます。

                   引用:厚生労働省、働き方・休み方改善ポータルサイト

勤務間インターバル制度導入手順

「勤務間インターバル制度」を導入することで企業にも従業員にもメリットがありますが、導入が可能かどうかをまず検討しましょう。

制度導入までの時間、業務量の見直しや人員の確保によるコスト、勤怠管理について解決ができるか検討したうえで導入をしましょう。

制度導入に向けた事前準備が整ったら、具体的な制度設計に入ります。

制度を設計するにあたって、「勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル」に導入手順やポイントなどが掲載されています。勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル(働き方・休み方改善ポータルサイト)

勤務間インターバル制度を設計する際の検討項目

  1. 適用対象の設定
  2. インターバル時間の設定
  3. インターバル時間を確保することによって、翌日の所定勤務開始時刻を超えてしまう場合の取扱い
  4. インターバル時間を確保できないことが認められるケース
  5. インターバル時間の確保に関する手続きの検討
  6. インターバル時間を確保できなかった場合の対応方法の検討
  7. 労働時間管理方法の見直し

留意点としては

  • すべての従業員を対象とすることが基本
  • インターバル時間には通勤時間が含まれることを考慮
  • 適用除外(緊急事態、トラブルへの対応等)とする際は、事後の健康確保措置が重要
  • 申請手続きの有無にかかわらず、勤務状況を把握する仕組みづくりを
  • 就業規則の作成、変更(所轄労働基準監督署への届け出)
  • インターバル時間の確保に向け他の取組も併せて検討を

制度を導入する中小企業への助成金

勤務間インターバルの導入に取り組む中小企業を支援するため、「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」があります。

本助成金は2024年3月時点のものです。最新の支給要件等は厚生労働省ホームページをご確認ください。 

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)について(厚生労働省ホームページ) 

リーフレット:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)のご案内[709KB]

まとめ

勤務間インターバル制度は勤務終了時刻から始業時刻まで、インターバル時間を一定時間設ける制度です。制度の導入にあたっては現実的に導入可能かどうか、よく検討することが重要です。

制度の導入により、従業員の健康維持・向上や人材獲得力の向上などさまざまな効果が期待できます。企業の長期的な経営を考え導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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