企業で毎年実施されるストレスチェック制度。2015年の義務化以降、50人以上の事業場では定着が進み、多くの企業が年1回の実施を継続しています。
しかし実際には、「高ストレス者の抽出だけで終わっている」「結果を活かしきれていない」といった声も少なくありません。
こうした中、最近では57問版から80問版への移行を検討する企業が増えています。
今回はその違いと、80問版にすることで得られる具体的なメリットを解説します。
また2028年5月までには50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化されることになっています。
57問版と80問版の違いとは
どちらも厚生労働省が推奨している「職業性ストレス簡易調査票」に基づいています。
57問版はいわば「簡易版」で、義務化の目的である高ストレス者の把握と職場全体の健康リスク評価を行うための項目で構成されています。
一方、80問版は「標準版」として設計され、仕事のストレス要因をより細かく分析できる内容になっています。
57問版は、仕事の量的負担・コントロール・上司・同僚の支援・ストレス反応といった3つの領域(仕事の負担、支援、反応)に焦点を当てています。
これに対し80問版は、これらに加えて「役割明確さ」「成長の機会」「公正な態度」「報酬満足」「職場の一体感」「上司のリーダーシップ」など、職場の文化や組織の特徴を測る項目を含んでいます。
つまり、「57問では見えなかったストレスの背景」や「組織の活力の源泉」までを可視化できるのが80問版の大きな特長です。
| 項目 | 57問版 | 80問版 |
| 出典 | 厚生労働省推奨「職業性ストレス簡易調査票」簡略版 | 同じ調査票の標準版 |
| 設問数 | 57問 | 80問 |
| 所要時間 | 約5~7分 | 約8~10分 |
| 主な構成 | ①仕事のストレス要因(17問) ②心身のストレス反応(29問) ③周囲の支援(9問) ④満足度など(2問) | ①仕事のストレス要因(45問) ②心身のストレス反応(29問) ③周囲の支援(6問) |
80問にすることで見える「職場の本質」
57問版では「ストレスが高い部署」「支援が少ない部署」といった大まかな傾向はつかめます。
しかし、具体的にどのような要因が影響しているかまでは明確にならないこともあります。
例えば、「ストレスが高い部署」と分かっても、その原因が「上司の指示が不明確」なのか、「仕事の範囲が曖昧」なのか、「評価が不公平に感じられる」のかでは、取るべき改善策がまったく異なります。
80問版では、「役割葛藤」「役割明確さ」「公正な評価」「尊重報酬」「成長の機会」など20を超える尺度で構成されており、課題の“質”まで明らかにすることが可能です。
例えば、「役割明確さ」が低い部署では、業務分担や目標設定の見直しが効果的。
「尊重報酬」が低い場合は、承認や感謝の文化づくりが必要。
このように、具体的な改善策につながるデータが得られるのが80問版の大きな強みです。
80問版では、以下のような項目をもとに、より多面的な集団分析が可能になります。

このように、80問版では単に「ストレスの高さ」を測るだけでなく、組織課題や改善ポイントを多面的に把握できるようになります。
新たに追加できる「SPQ(プレゼンティーイズム尺度)」とは
弊社のストレスチェックシステムでは、80問版に加えて「SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)」を組み合わせることで、プレゼンティーイズム(出勤しているが本来のパフォーマンスを発揮できていない状態)を測定することが可能です。
SPQは、「健康状態が仕事の生産性にどの程度影響しているか」を本人の主観で評価するもので、健康経営指標や生産性分析にも活用されています。
SPQの設問
【設問】
病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%として過去4週間の自身の仕事を評価してください。 1~100%で回答します。
この結果を集団単位で分析することで、
- 職場ごとの健康による生産性ロスの見える化
- 健康施策の効果測定(プレゼンティーイズム改善の推移)
- 「健康=業績向上」につながる健康経営の定量的指標化 ができます。
80問+SPQで見える「職場の真の健康」
57問では「ストレスが高い・低い」という表層的な結果に留まりがちですが、
80問+SPQでは、次のような経営に直結する分析が可能になります。
- 部署別に「ストレス要因 × 生産性ロス」を分析
- リーダーシップ、報酬、公正感などの改善がパフォーマンスに及ぼす影響を可視化
- 健康経営優良法人の評価として「プレゼンティーイズムの改善指標」を活用
たとえば、ある部署で「成長機会」や「ほめる文化」が低い一方でSPQが低下していれば、
“モチベーションや心理的安全性の欠如が生産性に影響している”と読み取れます。
このような仮説をもとに、ピンポイントで施策を立案できるのが80問+SPQの強みです。
まとめ
ストレスチェックは「やること」が目的ではなく、「結果を活かすこと」がゴールです。
57問版はその第一歩として十分に役立ちますが、職場環境の質を高め、健康経営を戦略的に推進するためには、より精密な80問版+SPQの活用が効果的です。
80問版による多面的な職場分析 × SPQによる生産性可視化
この組み合わせが、今後の健康経営のスタンダードになっていくでしょう。
<導入に関するご相談>
弊社のストレスチェックシステムでは、
- 57問/80問の切替え対応
- SPQ(プレゼンティーイズム尺度)の追加設定
- 独自設問の追加設定
- 集団分析レポートでのパフォーマンス指標可視化
をご提供しています。
「ストレスチェックを活用した職場改善」や「健康経営指標の見える化」に関心をお持ちの企業様は、ぜひご相談ください。

