近年「健康経営」という言葉を耳にする機会が増えています。
従業員の健康を守ることは、大企業だけの話ではありません。
中小企業にとっても、社員一人ひとりの健康は会社の成長に直結します。
特に人材不足が深刻な中小企業では、「人を大切にする姿勢」を見せることが採用や定着につながり、企業の競争力を左右します。
健康経営とは?
健康経営とは、経済産業省が推進する取り組みで、「従業員の健康管理を経営課題ととらえ、戦略的に取り組むこと」を指します。
単なる福利厚生ではなく、会社の成長戦略のひとつとして位置づけられるのが大きな特徴です。
人手不足や採用難が続く中、健康経営は「働きたい会社」としてのブランド力向上にもつながります。
「健康経営優良法人認定制度」は、経済産業省と日本健康会議が推進する、企業の健康経営への取り組みを評価・顕彰する制度です。
特に優れた健康経営を実践している法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けることができる環境を整備することを目的としています。
健康経営優良法人の申請数は年々増加しています。
中小規模法人部門では令和6年8月19日から10月18日の期間で申請受付を実施。2万件を超える20,267法人から申請があり、19,796法人が認定されました。「ブライト500」への申請件数は、令和6年度新設した「ネクストブライト1000」の影響もあり、4,224件となりました。

中小企業が取り組むメリット
採用力の強化
健康経営に力を入れる企業は、就職希望者から「安心して働ける会社」として選ばれやすくなります。
「健康経営優良法人」や自治体の認定を受ければ、会社の信頼度を高め、採用活動において大きなアピールポイントとなります。
離職防止・定着率向上
社員の健康をサポートする仕組みがある会社は、働く人にとって居心地がよく「ここで長く働きたい」と思ってもらえます。
結果として離職が減り、人材の定着率が向上します。
生産性の向上
体調不良やメンタル不調による欠勤、仕事のパフォーマンス低下(プレゼンティーイズム)は、中小企業にとって大きな痛手です。
健康経営によって従業員の心身のコンディションを整えれば、日々の業務効率やチームの活気が高まり、生産性の向上につながります。
医療費・労災コストの削減
生活習慣病の予防やメンタルケアを早めに行うことで、長期休業や医療費負担を抑えることができます。
結果として企業にかかる健康関連コストの削減が期待できます。
企業ブランド力・信頼性の向上
「健康に配慮する会社」という評価は、社員だけでなく取引先や地域社会からの信頼にもつながります。
大企業や自治体との取引において、健康経営認定がプラスに働くケースもあります。
成功事例:「健康経営優良法人2025」取得企業の取り組み
愛知県にある社員12名のIT企業B社は、3年連続健康経営優良法人(中小規模法人部門)に認定されました。
取組
- 年1回の健康診断を全員が受診
- 年1回のストレスチェックを実施
- 保健師による全員面談を実施
健診コラム:産業保健師って何をしてくれるの?中小企業でもできる“健康支援”の第一歩 - 上司との月1回1on1ミーティングの実施
- 昼休み後のラジオ体操で運動習慣を促進
- ウォーターサーバー設置や栄養補助食の常備
- 健保とのコラボで健康づくりセミナーを開催
成果
ストレスチェック集団分析結果より職場の傾向を把握し、職場環境を見直しています。
総合健康リスク(100を全国平均とし数字が大きいほどリスクが高くなる)は66と全国平均より34ポイント低く、上司や同僚から助けてもらえてると感じている社員が多いという結果でした。
保健師面談により社員の体調面の早期対応が可能となり、自己管理や健康相談のハードルが下がりました。
上司との1on1ミーティングでは業務負荷やメンタル状況を確認し、信頼関係の構築ができています。
また会社に対するエンゲージメントや、個人のモチベーションの向上につながっています。
これらの取り組みにより、健康診断後の再検査率が前年比で15%減少。社員の健康意識が向上しました。
また、離職率はゼロを維持し、採用面でも「健康経営をしている会社」という安心感から応募者数が増加しました。
健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)の申請受付開始
申請の受付期間とスケジュールは以下の通りです。
- 申請受付開始:2025年8月18日(月)
- 申請締切(中小規模法人部門):2025年10月17日(金)17時まで
- 申請料の請求書送付:11月上旬頃
- 申請料支払い締切:2025年12月31日(水)15時まで
- 認定結果発表(予定):2026年3月中旬

経済産業省:「健康経営銘柄2026」及び「健康経営優良法人2026」の申請受付を開始しました
まとめ
中小企業にとって、従業員一人ひとりの健康は貴重な経営資源です。
健康経営に取り組むことは、「採用」「定着」「生産性」「コスト削減」「ブランド力」のすべてにプラスの効果をもたらします。
まずは「健康診断の受診率を100%にする」「ストレスチェックを実施する」といった小さな一歩から始めてみませんか。
その積み重ねが、働きやすく強い会社をつくる基盤となります。
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