中小企業の健康経営の第一歩は「健康宣言」から

健康経営
この記事は約5分で読めます。

「健康経営に取り組みたいけれど、何から始めたらいいのかわからない」そんな声を多くの中小企業から聞きます。その最初の一歩が 「健康宣言」 です。

健康宣言とは、企業が「社員の健康を大切にし、健康づくりに取り組む」ことを内外に示すメッセージ。難しいものではなく、経営者の想いを言葉にすること から始められます。

参考:健診コラム 中小企業こそ取り組むべき”健康経営”〜従業員の健康は企業の未来をつくる〜

健康宣言の目的

中小企業にとって、社員一人ひとりの健康は会社の力そのものです。
健康宣言を行うことで、

  • 経営者の思いを社員に伝えられる
  • 社員の意識が高まり、健康行動につながる
  • 取引先や採用活動で「健康を大切にする会社」として信頼が得られる

健康経営優良法人の申請でも、「健康宣言をしていること」は必須項目です。
つまり、健康経営の出発点と言える取り組みです。

引用 ACTION!健康経営:健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)認定要件

宣言文の作り方

健康宣言は特別な形式はありません。
会社の規模や業種に合わせてまとめることが大切です。
健康宣言は自由に作成できますが、次の要素を入れると実践的です。

  1. 経営者の想い 
     例:「社員が健康でいきいき働ける会社にしたい」
  2. 社員の健康づくりに取り組む姿勢、具体的な取組の方向性
      健康診断の受診徹底
      ストレスチェックの実施
      睡眠・運動・食生活の改善支援
  3. 社員・家族・地域への姿勢
     社内だけでなく、社員の家族や地域にも配慮した取り組み姿勢を示す

宣言文サンプル(中小企業向け)

株式会社○○ 健康宣言
当社は、社員一人ひとりが心身ともに健康で、いきいきと働ける職場づくりを推進します。
健康診断の全社員受診、ストレスチェックの実施、生活習慣改善支援を通じ、社員と会社が一体となった健康経営を行います。
令和○年○月○日
株式会社○○
代表取締役 ○○○○

宣言の発信方法

健康宣言は作るだけでは意味がありません。
社員が内容を理解し、日々の行動につなげるためには、効果的な発信方法が不可欠です。

社内掲示で「見える化」する
入口や休憩スペース、コピー機横など社員の目に入りやすい場所に掲示

 社内メール・チャットで周知する
LINE公式アカウントやSlackなど、社内のコミュニケーションツールを活用
メッセージと一緒に宣言文のPDFや画像を添付

朝礼・ミーティングでの口頭発信
経営者や管理職が直接伝えることで、宣言の重みが増す
健康に関する短いトピックや成功事例を合わせて紹介

社外への発信も意識する
会社のホームページや採用ページに掲載
会社案内や名刺に「健康経営実施中」と入れる

社内外への発信とともに健康保険組合や協会けんぽに宣言を届けることもポイントになります。

健康経営優良法人制度では、企業が「健康宣言を行っていること」が必須条件です。
申請時に、社内掲示だけでなく、健保や協会けんぽに提出していることが確認されます

引用 ACTION健康経営!健康経営ハンドブック

宣言後の運用ポイント

経営トップが継続して発信する

健康宣言は、企業として「社員の健康を守る」という方針を明確にしたもの。
それを形だけで終わらせず、経営層が繰り返しメッセージを発信することで、社内への浸透が進みます。
「今月の健康目標」や「取り組み結果」を社内掲示やメールで共有するなど、継続的な発信が効果的です。

現状を見える化する

健康経営のスタートは「今の職場の健康状態を知ること」から始まります。
健康診断やストレスチェックの結果、勤怠データを活用し、課題を“見える化”しましょう。
たとえば「睡眠不足」「運動不足」「メンタル不調」など、テーマ別に整理すると、次の打ち手が考えやすくなります。


メディクラ健康管理

目標(KPI)を設定する

宣言内容を「数値目標」に落とし込むと、進捗がわかりやすくなります。
例として、
•健診受診率100%を維持する
•ストレスチェック受検率90%以上
•喫煙率を10%減らす
•残業時間を前年より10%削減
など、具体的な目標を掲げることで社員も行動しやすくなります。

小さな取り組みを習慣化する

健康経営は“無理なく続けること”が鍵です。
小さな習慣づくりを意識しましょう。
たとえば、昼休み後のラジオ体操、15時のストレッチタイム、ウォーターサーバーの設置など、すぐに始められる工夫でも十分です。

従業員の声を取り入れる

健康経営を続けるうえで欠かせないのが「社員の声」。
アンケートや1on1ミーティングなどを通じて、職場の健康課題や希望を聞き取りましょう。
現場の意見を反映させることで、より実効性のある取り組みになります。

取組みを発信し、次のステップへ

社内掲示や社内報、SNSなどで活動を“見える化”することも大切です。
社員のモチベーションが上がり、企業外への信頼発信にもつながります。
また、「健康経営優良法人」や自治体の「健康経営認定制度」への申請も、取組み継続の大きな励みになります。

年に一度の振り返りを

健康経営は一度きりではなく、PDCAサイクルを回すことが大切です。
年に1回、健康診断結果やストレスチェック結果の変化を確認し、次年度の計画を見直しましょう。
小さな改善の積み重ねが、健康的で働きやすい職場づくりにつながります。

まとめ

中小企業にとっての健康宣言は、難しいものではありません。
経営者が「社員の健康を大切にしたい」という想いを言葉にし、実際の行動につなげることが大切です。

まずは、自社らしい一文を掲げてみましょう。
その宣言が、社員の元気と会社の成長を支える第一歩になります。


メディクラ健康管理