健康経営担当者が取り組むべき課題とは?

健康経営
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健康経営担当者の最大の関心事とは?

 健康経営に関わる担当者の中には、突然会社から「明日から、健康経営担当ね」と言われ、何もわからないまま、とにかく健康宣言をしたり、健康経営優良法人について調べてみたりする担当者が多いようです。
 実際に健康経営の担当者になっても、ネットで調べたり、健康経営優良法人を取得するために、業者を探したりと、周りに相談できる環境もないため、情報が偏ってしまうことも、仕方ないことです。
 そういった状況もあってか、企業の健康経営に携わる担当者は、自社の健康診断に一番近いところにいる、「保険者」に対して健康経営に関する相談をするようです。以下のグラフは保険者への相談事項の割合を表したものです。

 相談内容の上位を見てみますと、「健康経営にあたり自社健康課題を相談」「施策に効果的な実施方法を相談」など、健康課題についてとその解決方法(効果的な実施)について相談していることが多いようです。

従業員の健康課題の把握と、その対策が一番の関心事

では、健康経営の具体的な関心事は?

 次に、健康経営担当者の具体的な関心事、従業員の健康保持と増進における課題について、具体的に見ていきたいと思います。
 以下のグラフは、課題と感じている具体的な項目(健診担当者の関心事)についてアンケートを取ったものです。

労働時間適正化、生活時間確保:47.0%

 労働時間によって、従業員の生活時間(プライベート時間)が削られてしまっているという課題です。
 労働時間が安定していないことで起こる問題ですが、時期(季節、年度など)・職種・社会情勢など、様々な要因によって残業が発生したり、あるいは定時で退社できたりと、生活時間に影響が及びます。安定した生活時間が確保できないと、従業員のライフスタイルにも影響を与えることになり、結果として従業員の作業効率やモチベーションへの影響も考えられます。

ストレス関連疾患の予防・早期発見・対応:44.3%

 身体の不調は目に見えてわかりやすい場合もありますが、ストレスなど心に関わることは目で見えず、従業員のメンタル不調を把握することは、とても難しいことです。50人以上の事業所ではメンタルヘルスに伴う「ストレスチェック」が義務化されましたが、50人未満であっても定期的にストレスチェックを実施し、従業員のメンタル不調を事前に把握したうえで、適切なフォローを実施できる体制が望まれます。

生活習慣病等の健常者への発生予防:39.3%

 食生活や生活内での運動習慣は、肥満・高血圧・糖尿病など様々な病気の発生要因となり得るばかりでなく、従業員の生活やQOLにも影響を与える可能性があります。もちろんこれは企業にとって大切な人財が減っていく可能性を含んでいるだけでなく、医療費向上の原因にもなる、重要な課題です。

生活習慣病の予防とメンタルヘルスを実施し
適切な労働時間で働いてもらう施策が課題

健康経営で感じている課題と実際の対策に乖離が!?

 健康経営担当者は、「生活習慣病予防」そして「メンタルヘルス」の大切さを理解し、課題であると認識しつつも、実際の取り組み状況は少し違うようです。以下のグラフは、健康経営銘柄及び健康経営優良法人の選定・認定要件となっている15項目の実施率について調査したものです。

「定期健診受診率100%」達成企業:61.5%

 定期健診とは労働安全衛生法で決められた法定健診で、検査項目も決められています。法律で定められた定期健診ですので受診は義務ですが、「受診率100%」を達成しているのは6割程度の企業となっています(アンケートによる)。従事している業務によっては、予定していた健診に行けなくなったなど、「仕事の現場」での事情もあるようです。
 一方で、「受診勧奨」の取り組みについては、98%の企業が実施しているようですが、実際の取り組みの成果が出ていない結果となっています。

「保健指導の実施及び特定保健指導実施機会の提供 」達成企業:70.0%

 特定保健指導は、生活習慣病予防のための最前線の取り組みです。保険者は被保険者と連携し、様々な形で生活習慣病予防に取り組んでいます。先ほどのアンケート結果では、「生活習慣病予防とメンタルヘルス実施」が最重要課題だと、健康経営の担当者は認識しているようですが、実際の取り組みについては達成企業がおよそ70%となっており、30%の企業は生活習慣病の可能性がある従業員に対して、何もフォローが出来ていない可能性があります。

およそ4割の企業は、健診未受診の従業員がいる
およそ3割の企業は、生活習慣病予防が未実施

まとめ

 経済産業省の調査から、健康経営担当者は自社の健康に関して保険者に相談をし、自社の労働時間の問題・ストレス関連に関する問題・生活習慣病の発生予防など課題を把握しているものの、およそ4割の企業では健康診断未受診の従業員がおり、また特定保健指導なども適切に実施できていない企業も3割近くある、ことがわかりました。

 まずは、安全衛生関連法で定められた、定期健康診断を1年に1回、確実に受診することが、健康経営を実現するうえで第一歩だといえます。その上で、特定保健指導やメンタルヘルス対策を実施することで、従業員のQOLを高めていくことが、企業の成長を促進するといえます。