今年から会社の健康管理担当者になった方、安全衛生委員会のメンバーになった方、産業保健はどんなことをするのだろうと思っていませんか?
産業保健の基礎知識として今回は産業保健の目的、産業保健に関わる法律についてお伝えします。
産業保健は働く人を対象にします
私たちの健康の保持増進や回復のために、国や地方自治体、企業などが組織的にかかわっている保健活動は4つに分けられます。
1.地域保健:乳幼児、自営業者や専業主婦など(産業保健と学校保健で対象とならない成人)、高齢者などを対象とする。
2.学校保健:児童生徒や教職員を対象とする。
3.産業保健:おもに企業に所属するなどして働く人々を対象とする。
4.環境保健:健康に影響を与える環境の管理を行う。
参考文献:NHK高校講座保健体育第39回[保健]健康を支える環境づくり
産業保健の目的
産業保健は、産業医学を基礎とし、働く人々の生き甲斐と労働の生産性の向上に寄与することを目的とした活動です。職場においては産業医、保健師、衛生管理者、衛生推進者等のスタッフが活動し、職場外から労働衛生コンサルタント、作業環境測定士、健康保持増進(THP)のスタッフ等の専門家が支援します。
国際連合WHO/ILO合同委員会では産業保健の目的を以下のように定めています。
- 働く人々すべての身体的、精神的および社会的健康を最高度に維持増進させる。
- 労働条件に起因する健康障害を防止し、健康に不利な諸条件からの雇用中の労働者を保護する。
- 労働者の生理的および心理学的特徴に適合する職業環境に労働者を配置し、健康を維持する。
- 仕事と人との適合を図る。
働く人が健康で安心して働ける職場づくりの支援、事業者が取り組む活動
産業保健に関する法律
産業保健は働く人の健康と安全を守るだけではなく、事業者が法令遵守することで罰則の適用、民事・刑事訴訟などのリスクを回避するすることになり企業を守ることにつながります。
産業保健に関わる主な法律
- 労働基準法…労働条件の最低基準を定めている
- 労働安全衛生法…「職場における労働者の安全と健康の確保」「快適な職場環境の形成促進」を目的としている
- 労働契約法…労使間で労働契約を適切に取り交わし、労働者が不当な取り扱いを受けないように労働者を保護し個別の紛争を予防することが目的。安全配慮義務について規定されています。
労働安全衛生法では、安全衛生教育の実施、中高年齢者等に対する配慮、作業環境測定、作業の管理、健康診断実施、健康診断実施後の措置、長時間労働者に対する面接指導の実施、ストレスチェックの実施、病者の就業禁止にかかる措置などが義務付けられています。
まとめ
健康経営や働き方改革などが進められるなか、産業保健活動の重要性が高まっています。
令和6年より第五次国民健康づくり健康日本21(第三次)がスタートしました。
個人と社会環境の両面から、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指す基本方針のもとに「誰一人取り残さない健康づくり」を推進するとし、新たに産業保健に関する目標数値も加わりました。
企業においては法令を遵守し、多様化する健康課題に対応していくことが求められています。