特定化学物質に追加されます
特定化学物質(第2類物質)に 「 溶接ヒューム 」並びに「塩基性酸化マンガン」が追加されます。
これは、米国産業衛生専門家会議(ACGIH) と欧州委員会科学委員会( EC )で 粒径別のマンガン及びその化合物のばく露限界値が勧告されたことを踏まえ、「溶接ヒューム」と「マンガン及びその化合物」は、その毒性や健康影響が異なる可能性が高いことから「溶接ヒューム」を独立した特定化学物質(管理第2類物質) として位置付けられたことによります。
当面、特別管理物質としては位置付けず、発がんの原因物質等の知見が明らかになった時点で、再検討されることになっています。
健康診断も対応が必要に
1次健診
金属アーク溶接等作業に常時従事する労働者に対し、雇入れまたは当該業務への配置換えの際、およびその後6ヵ月以内ごとに1回、定期的に規定の事項について健康診断を実施する必要があります。
具体的には、以下の項目について実施が必要となります。
- 業務の経歴の調査
- 作業条件の簡易な調査
- 溶接ヒュームによるせき等パーキンソン症候群様症状の既往歴の有無の検査
- せき等のパーキンソン症候群様症状の有無の検査
- 握力の測定
2次健診
上記の1次健診の結果、他覚症状が認められる労働者等で、医師が必要と認めるものに対し、規定の事項について健康診断を実施する必要があります。
具体的には、以下の項目について実施が必要となります。
- 作業条件の調査
- 呼吸器に係る他覚症状等がある場合における胸部理学的検査等
- パーキンソン症候群様症状に関する神経学的検査
- 医師が必要と認める場合における尿中等のマンガンの量の測定
いつから対応が必要?
既に法改正については告示がされており、令和3年4月1日から施行されます。
具体的には、以下のスケジュールで対応が必要です。
令和3年4月1日~
【法定義務項目】
- 継続的に金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場について、
個人サンプラーによる空気中の溶接ヒューム濃度の測定(年度内に実施) - 金属アーク溶接等作業に従事する労働者に対する健康診断(以降は年2回実施)
【準備項目】
- 作業主任者技能講習修了者が不在、または不足する場合には、年度内に修了者の増員を行う
- 濃度測定結果に応じた、換気装置等の準備及び呼吸用保護具の準備
令和4年4月1日~
【法定義務項目】
- 作業主任者技能講習修了者の中から、作業主任者を専任
- 作業場内の溶接ヒューム濃度に応じた換気
- 金属アーク溶接等作業に従事する労働者に、呼吸用保護具を着用させる
特化則等改正まとめ
本トピックスでは、主に健康診断に関連する項目を取り上げましたが、本改正全体では、作業場内の全体換気はもちろんのこと、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した方を作業主任者として選任する必要や、サンプラーを用いて空気中の溶接ヒュームの濃度を測定するなどの対応が必要になります。
今一度、作業場におけるばく露防止措置が正しく行われているか、確認してみてはいかがでしょうか。