JSCC基準からIFCC基準へ変更されます
現在、ALP(アルカリホスファターゼ) および LD(乳酸脱水素酵素)の測定は、日本臨床化学会(JSCC)が提唱する JSCC 標準化対応法が広く採用されていますが、アイソザイム(同位酵素)への特異性が異なることが知られています。
このため JSCC ではこの問題を解決すると同時に、海外のガイドラインが利用しやすく、また国際的協同治験にも対応できる国際臨床化学連合(IFCC)の基準測定操作法と同一の測定法に変更することを決定しました。 2021年3月31日までに、IFCC基準での測定に切替が奨励されており、多くの検査機関等で対応が進められています。
具体的になにが変わる?
アルカリホスファターゼ(ALP)
測定値がおよそ3分の1となるため、健診機関における判定基準や健診結果報告書の表記内容への影響がありますが、多くの検査機関等では対応が進められていますので、一度利用されている健診機関に確認されることをおすすめします。
なお、健診機関からの結果を元に、改めて会社独自の判定を行っている場合には、マスタ設定や判定基準の変更などの対応が必要になることが想定されます。
また、経年比較など、新旧の結果が共存する場合には、結果値を換算する必要があります。具体的には、
JSCC法測定値からIFCC法測定値に換算する場合には「0.35倍」
IFCC法測定値からJSCC法測定値に換算する場合には「2.84倍」
との「換算係数」が日本臨床化学会の資料に記載されています。
乳酸脱水素酵素(LD)
LD の測定値については、ほとんど変化しないため基準値は変更されませんが、肝疾患の場合に低値傾向になるとされています。
気になる数値となった場合には、それが基準の変更による影響なのか等、健診機関への問い合わせが必要になるかも知れません。
IFCC基準とJSCC基準値の違い
具体的な基準値は、以下の通り変更になります。
血液検査の測定法まとめ
「IFCC基準」や「JSCC基準」と言われてもピンとこないかも知れませんが、従業員の皆さまに、より健康診断に興味を持っていただくきっかけとして、今回の基準変更について社内周知を行ってみてはいかがでしょうか。
今回の変更で、これまでは日本独自の基準で測定されてきた ALP や LD が、国際標準法に準拠する形となり、国際治験や論文発表において日常検査結果をそのまま使用することが可能となります。
これにより研究成果発表の後押しにつながることが期待され、ゆくゆくは私たちの健康管理に役立つ発表がなされるかも知れません。
出典:日本臨床化学会(http://jscc-jp.gr.jp/)